【新刊情報】矢樹純さんの『或る集落の●(まる)』概要とインタビュー

新刊情報
矢樹純『或る集落の●(まる)』

矢樹純(やぎ・じゅん)さんの新刊『或る集落の●(まる)』(2015年11月25日発売)の概要とインタビューです。

―― 因習の残る集落を舞台としたホラー短編集

或る集落の●(まる)

因習にとらわれた集落にまつわる不思議で恐ろしい四つの物語を集めました。●田舎の集落に暮らす姉を訪ねた「私」――しかし姉は、姉ではないものに変貌していた(「べらの社」)●病気の治療のために、どんな病も治す猿がいるという集落に閉じ込められた「私」を悪夢が襲う(「うず山の猿」)●やくざの下っ端の「俺」と、田舎の集落の出身で自分を人間じゃないと言い張る不思議な「兄弟」の物語(「がんべの兄弟」)●奇妙な因習の残る集落に嫁いだ「私」は大切な一人息子と引き離される。三年後、帰ってきた息子は《何か》が違っていた(「まるの童子」) 以上の四編を収録。※「べらの社」は第8回『幽』怪談文学賞短編部門に応募し、最終選考に残った作品です。

―― まず簡単に自己紹介をお願いします

漫画原作者の矢樹純です。「ビッグコミックオリジナル増刊」(小学館)にて『あいの結婚相談所』を連載中。2012年に第10回「このミステリーがすごい!」大賞の隠し玉に選ばれた作品が宝島社から刊行され、一応作家としてもデビューしています。

これまで発売された作品は、漫画原作では『あいの結婚相談所』1~2集(小学館)、『女囚霊 塀の中の殺戮ゲーム』(小学館)など、小説ではデビュー作である『Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件』(宝島社)、今年の8月末にKindleストアで発売した長編ミステリー『がらくた少女と人喰い煙突』です。 漫画原作、小説ともに、ミステリー、ホラー、サスペンス作品を主に書いています。

矢樹純のブログ
http://d.hatena.ne.jp/ieyagi/
矢樹純のTwitter
https://twitter.com/yagi_jun

―― この作品を制作したきっかけを教えてください

以前自分は『幽』怪談文学賞短編部門に「べらの社」という作品を応募し、最終選考で落ちたという過去があります。自分は当時、この短編に大変自信を持っていて、「受賞したらきっと連作短編として出版されるから、そのためのプロットを作っておかないと」と結果を待ちながら「べらの社」の舞台となった集落にまつわる短編のプロットを作り続けておりました。その4本目のプロットを作っているところで落選を知った次第です。

―― この作品の制作にあたって影響を受けた作家や作品を教えてください

主に三津田信三先生ですが、若干、平山夢明先生が混じっています。

―― この作品のターゲットはどんな人ですか

怖いもの、後味が悪いもの、気持ちが悪いものが好きな方ですね。そうでない方は読まない方が良いと思います。

―― この作品の制作にはどれくらい時間がかかりましたか

一か月に一本のペースで書いたので大体四か月くらいです。

―― 作品の宣伝はどのような手段を用いていますか

Twitterやブログ、Facebookページです。今回、初めて《でんでんランディングページ》を作るのにチャレンジしたのですが、その手のことに慣れていないので難しかったです。

―― 作品を制作する上で困っていることは何ですか

読書量が圧倒的に足りていないので、語彙や表現力が乏しくて困っています。分かっているなら本を読めばいいのですが、つい漫画の方に手が伸びてしまいます。

―― 注目している作家またはお気に入り作品を教えてください

ホラーでは断トツで三津田信三先生の《作家三部作》です(最近の『のぞきめ』や『どこの家にも怖いものはいる』なども好きですが)

―― 今後の活動予定や目標を教えてください

現在は漫画原作の連載の他に、ホラー漫画の新連載の企画が進行中なので、その準備をしています。小説では某出版社でミステリーの短編集を出すべく頑張っています。編集さんから似通った話が多いと指摘され、また新たな話を書いたり修正したりとなかなかゴールが見えてきませんが、泣いてません。

―― 最後に、読者へ向けて一言お願いします

紙の出版の方でなかなか本が出せなくて誰にも読まれない原稿が溜まる一方なので、こうしてまとめられるものをまとめて読んでいただけたらと思い、個人出版を始めました。皆さまに楽しんでいただけたら本当に嬉しいです。

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