ここでは言葉の定義について確認しておきます。日本語の「出版」と、英語の「publishing」は、ニュアンスが異なります。
Wikipedia日本語版によると、「出版」とは 〝販売・頒布する目的で文書や図画を複製し、これを書籍や雑誌の形態で発行すること〟 です。出版社から取次を経て書店に並ぶ流通形態だけが「出版」というわけではありません。例えば同人誌も、立派な「出版」の一種です。
いっぽう、Wikipedia英語版によると、「publishing」とは 〝the process of production and dissemination of literature, music, or information — the activity of making information available to the general public.〟 すなわち、文学、音楽、または情報の生産と普及のプロセス – 一般大衆に利用可能な情報を作る活動です。
publishing の語源は public で、日本語では「公共」と訳されます。「私(private)」や「個(individual)」と相対する概念です。つまり、自分の書いた文章や描いたイラストなどを、世間一般の人に読んでもらうために、公にすることというのが本来の意味。紙の書籍や雑誌の形態である必要もないのです。
極端なことを言えば
あ
— 鷹野 凌 (@ryou_takano) September 1, 2013
このツイートですら publishing と言えなくはないのです。
要するに、ブログや SNS への投稿でも、一般に公開して誰でも見られる状態にあれば publishing なのです。ただ、日本語の「出版」とはニュアンスが異なるため、ブログや SNS への投稿まで含める場合は「広義の出版物」と表現した方が分かりやすいでしょう。
例えば mixiページや Facebookページの投稿、Twitterの普通の投稿などは、会員登録していない人でも見ることができます。これはまぎれもなく「広義の出版物」です。
ところが、「mixi日記」は[全体に公開]設定になっていても、mixi会員以外には見られません。Facebookの[公開]設定投稿も、Facebook会員以外には見られません。Twitterのプライバシー設定で[ツイートを非公開にする]を選択すると、自分の投稿はすべて、承認したユーザー以外には非公開になります。
閲覧できる範囲を限定している投稿は、公にしているとは言えない(publicではない)ので、「広義の出版物」には含まれないとみなした方がいいように思われます。