かわせひろしさんの小説『太陽のホットライン』連載第1回が『月刊群雛』2016年03月号に掲載! ―― 作品概要・サンプルなど

作品情報&著者情報
『月刊群雛』2016年03月号

『月刊群雛』2016年03月号には、かわせひろしさんの小説『太陽のホットライン』連載第1回が掲載されています。これはどんな作品なんでしょうか? 作品概要・サンプルなどをご覧ください。

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作品概要

 小学五年生の春日太陽は、大親友の光とともに、地元チーム柏レイスターズのセレクションを受ける。一緒に受かろうと誓い合った二人だったが、テストは容赦のない振るい落としにかかる。連載第一回!

―― キュートでホットな本格サッカーストーリー

太陽のホットライン 黄色のサッカーボーイズ

 一 セレクション

 そろそろ冬も近づく日曜日。風はなく、ほどよい空気の冷たさに、頬がぴりっと引きしまる。空は快晴。いいサッカー日和だ。
 周囲を木々に囲まれたグラウンドに、色とりどりのユニフォームの子供たちが集まっていた。総勢二百名近くいるだろうか。
 今日は柏レイスターズアカデミーの、U‐12セレクションの日だった。
 柏レイスターズは、千葉県柏市に本拠地のあるプロサッカークラブだ。Uはアンダーの意味で、U‐12は十二才以下を指す。今日のセレクションは、来年六年生になる子供を募集する入団テストで、ここに集まっているのは、腕に覚えならぬ、足に覚えのあるサッカー小僧たち。プロサッカー選手を夢見て、入団を希望している子供たちだ。
 受付をすませて、セレクションの開始を待つ間、みんな思い思いに身体を動かしている。一人ボールをける子、友達とパス交換する子、ドリブル対決をしている子、さまざまだ。緊張気味で口数少ない子もいれば、興奮しておしゃべりになっている子もいて、その様子もこれまたさまざまだった。
 そんなグラウンドをながめて、そわそわしている男の子が一人。
 周りの子と比べて背は低い。顔も幼い印象。くりっとした瞳は落ち着きなく、辺りをきょろきょろ見回している。頬は紅潮して、興奮がかくせない様子。
 春日かすが太陽たいよう。このセレクションに来ているのだから、幼く見えても、周りのみんなと同い年の小学五年生だ。
「うわー、たくさんいるなあ。これみんなライバルなのか! ううー、負けらんねー!」
 そう言いながら太陽は、じたばたと足ぶみした。これだけ大勢いて、セレクションに受かるのは数名だという話を聞いた。それを考えると気持ちが高ぶり、じっとしていられない。
「落ち着きなよ、太陽」
 そんな太陽に声をかける男の子も一人。
 月島つきしまひかる。太陽の親友だ。背はそう高くないけれど、太陽に比べるとずっと大人びて見える。実際とてもしっかり者で、落ち着きがなくおっちょこちょいの太陽は、いつもお世話になっていた。
「だってさ、光。すっげー人いるよ? これ全員受けるんだろ? うー、興奮するー」
 太陽は本当に、いてもたってもいられない気分だった。両手をぶんぶんふり回す。それを見て、しかたないなあと光は苦笑いする。でもそういう光も、気持ちの高ぶりを感じているのか、自分を落ち着かせるように、大きくひとつ息をつく。
 無理もない。なにしろ、ここがプロへの登竜門なんだから。
 日本のプロサッカークラブは全て、選手を育てる下部組織を持っている。プロリーグに参加している大人のチームの他に、高校生、中学生、小学生のチームも持ち、未来のプロ選手を育成している。柏レイスターズアカデミーも、そのための組織だ。

※サンプルはここまでです。

作品情報&著者情報

かわせひろし
かわせひろし
―― まず簡単に自己紹介をお願いします

 かわせひろしです。漫画家として活動し、『ケッタ・ゴール!』(ポプラ社刊)連載後、小説家に転進。第十一回ジュニア冒険小説大賞を取って、『宇宙犬ハッチー 銀河から来た友だち』(岩崎書店刊)でデビューしました。
 セルフ・パブリッシングも同時に進めていて、E☆エブリスタさんで『君の守護者』を連載しています。

◆ブログ:かってに応援団
http://ouendan.cocolog-nifty.com/blog/

◆Twitter:
https://twitter.com/kawasehiroshi/

―― この作品を制作したきっかけを教えてください

 もともとは商業出版を目指して出版社に送っていた原稿です。いい所まで行ったのですが、類書が壁になって出版には至りませんでした。ただ、題材的に読んでくださる方がいるだろうと思ったので、発表することにしました。

―― この作品の制作にあたって影響を受けた作家や作品を教えてください

 作家、作品というより、僕の応援している千葉県柏市の黄色いサッカークラブ、柏レイソルです。セレクションの取材にも行きました。

―― この作品のターゲットはどんな人ですか

 もともと児童書なので小学生のお子さんなのですが、群雛の読者には少なそうなので、まずサッカーが好きな人。そして、小さい男の子ががんばってると応援したくなっちゃう人。さらになんと言っても、東葛地区在住の方(ピンポイント)。

―― この作品の制作にはどれくらい時間がかかりましたか

 何度も直して一年半(泣)。

―― 作品の宣伝はどのような手段を用いていますか

 主にツイッター、ブログです。日本独立作家同盟のコミュニティでも宣伝させていただいています。

―― 作品を制作する上で困っていることは何ですか

 とにかく書く時間です。自分の手が速くてもいいですね。加速装置でマッハ3とか、アクセラレーターで脳のクロック周波数をアップとか、ぜひ実装したいのですが実現していません。

―― 注目している作家またはお気に入り作品を教えてください

 去年鳴り物入りで加入したのにあまり活躍しなかったエデルソン選手が、真価を発揮してくれるのかどうかです。ブラジル・セリエA得点王の力を見せてほしいです。……それは作家じゃなくてサッカー選手や!
 失礼しました。でも得点源を二人失ったので、サポーター的には切実です。

―― 今後の活動予定や目標を教えてください

 柏から世界へ! 

―― 最後に、読者へ向けて一言お願いします

 やりたい放題ですいませんでした。全五回の予定ですので、最後までお楽しみください。

かわせひろしさんの作品が掲載されている『月刊群雛』2016年03月号は、下記のリンク先からお求め下さい。誌面は縦書きです。

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