『月刊群雛』2015年12月号の参加者に、「2015年に読んだ書籍ベスト3を教えてください」と質問してみました。
波野發作さん(『オルガニゼイション』〈連載最終回〉)
ベストを3つ挙げますが、順位はありません。
『アンダーグラウンド・マーケット』 藤井太洋(ふじい・たいよう)
スピード感に圧倒されて、読み終わるまで一度も顔を上げられず。コーヒーのおかわりを買いにいこうと思っていながら、ページをめくる手がまったく止まらず、結局最後まで読み終えてから買いにいったんですよね。
『サプール ザ ジェントルメン オブ バコンゴ』 ダニエーレ・タマーニ
「年収3万円の半分をファッションにつぎ込む」というアフリカ・コンゴのイカす集団「サプール」の本。これは全編ただひたすらカッコイイだけの本です。粋ってこういうこと。
青幻舎
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『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』 押見修造(おしみ・しゅうぞう)
今さら感はあるけど読んだのは今年。コミックも含めていいの? という声もあるかと思うけど本には違いないでしょ。とにかく今年のガチなベスト3は何かって聞かれてこれを入れない訳にはいかないのです。
矢樹純さん(『鼠の家』〈読切〉)
三作品も選べなかったので、一作だけですみません。
『その女アレックス』 ピエール・ルメートル
物語そのものの面白さも抜群ですが、主人公の刑事のキャラクターが自分の趣味にぴったりで、完全にはまりました。今の仕事が終わったら『悲しみのイレーヌ』を読むつもりで買ってあります。
文藝春秋
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米田淳一さん(『6人の出張』〈読切〉)
ぎゃあ、そういうのすごく苦手なんですよ。で、今、今年の読書記録見ると……うわっ、恐ろしいほど本読んでないなあ、ということが判明。
ほとんど電子で、しかも値引きの凄い合本をどっさり買って読まずに積ん読して満足した1年でした。ヒドイッ。
『アルゴリズムが世界を支配する』 クリストファー・スタイナー
すごく興奮。今年私がプログラミングとか始めたのはこの本がきっかけ。
角川書店
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『主役じゃなかった彼に捧げるささやかな悪意の日記』 晴海まどか(はるみ・まどか)
これは文句無しに良かった。楽しく読みました。うひひ(なぜ)。
『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。』 鷹野凌(たかの・りょう)・福井健策(ふくい・けんさく)
ほんと役に立つ。うっすら常識と思っていたことの整理が捗りました。
毎回の『月刊群雛』を読んで、こうやって群雛関係者の読んで、役に立ちそうな本を読んで……いいのかこれで。まあ、どれもすごく読書好奇心としては満足だったのでいいんですけどね。
あと今更『虐殺器官』伊藤計劃(いとう・けいかく)とか『銃・病原菌・鉄』ジャレド・ダイアモンドとか、あと一応『火花』又吉直樹(またよし・なおき)とか読んだけど、昔の本だったり、私があえて推すことないなあと思ったりで割愛。世評は世評だもんねえ。
川瀬薫(『青い欄干』〈読切〉)
『佐藤泰志作品集』 佐藤泰志(さとう・やすし)
『そこのみにて光輝く』、『きみの鳥はうたえる』、『海炭市叙景』など、収録作品はどの作品も推薦できます。近年映画化され、急速に再評価が進んでいるのには、何か理由があるのではないでしょうか。
幸田玲さん(『夏のかけら』〈連載第4回〉)
『竜馬がゆく』1~8巻 司馬遼太郎(しば・りょうたろう)
竜馬の人物像が、時代背景に溶け込んで活き活きと描かれている。
『眼の壁』 松本清張
秀逸なミステリー長編小説。
『蝉しぐれ』 藤沢周平(ふじさわ・しゅうへい)
秀逸な時代小説。
晴海まどかさん(『一小路真実は興味がない』〈連載第1回〉)
「ベストセラー」「今話題」と書かれているとまず流行っている時期には読まないという、私が今年読んだ書籍のベスト3はこちらです。
『ダレン・シャン』シリーズ(全十二巻) ダレン・シャン/橋本恵(はしもと・めぐみ)訳
コミカライズを見かけて以来ずっと気になっていて今年読破。バンパイアの皮肉な運命を描いたシリーズですが、とにかく六巻と九巻の衝撃が半端ありません。読破した勢いでコミカライズも購入。こちらもよかったです。
小学館
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『マトリョーシカ大図鑑』 沼田元氣(ぬまた・げんき)
ロシアの人形「マトリョーシカ」の写真が多数収録されているだけでなく、事細かに分類し、地域ごとの特徴まで解説した本。とにもかくにも超カワイイ! マトリョーシカを求めてロシアの地を旅してみたくなる一冊。
『校正のこころ 積極的受け身のすすめ』 大西寿男(おおにし・としお)
校正者だけでなく、文章を書くあらゆる人に読んでほしい一冊。おかげで言葉を選ぶことをさらに考えるようになりました。書き手であれば、SNS含め、文章を発信するとはどういうことなのかを考えるべきだなぁとも。
和良拓馬さん(『戦術ナドロ』〈読切エッセイ〉)
ベスト3というよりも、同率1位の3冊というテイストで選出致しました。
『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。』 カレン・フェラン
単なる経営者&コンサルタント批判本かと思いきや、実例と実践(!)をベースにマネジメントで陥りやすい罠を丁寧に解き明かした良書。日々の仕事を俯瞰的に捉えるのは良いけれど、「メガネのチョイス」を誤るとマズいということでしょうね。
『CUT 2015年8月号』
今年アホみたいにハマったコンテンツが『ラブライブ!』でして、アイドルとしてはPerfume以来の個人的大ヒットとなっております。本書は『ラブライブ!』の今と歴史を知る一冊としてむさぼるように読みました。あと、ナンジョルノかわいい。
『賭ける魂』 植島啓司(うえしま・けいじ)
作者が唱える運や縁の考え方は非常に独特であり、いつも読み終えたあと胸の重しがすっと取れてしまいます。不確実なギャンブルという存在は、生き方を投影する役割をも担っているのでしょうか。タイトルも秀逸。
泉鳴巳さん(『夢のつづき』〈読切〉)
『少女キネマ 或は暴想王と屋根裏姫の物語』 一肇(にのまえ・はじめ)
映画作りのために奔走する主人公や学生たち、そしてヒロインの姿が爽やかで瑞々しく、それでいて〝熱〟を感じられる作品。読後感も良かったです。創作に携わる方には特にお薦めしたい作品です。
KADOKAWA/角川書店
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『掟上今日子の備忘録』 西尾維新(にしお・いしん)
西尾維新の探偵もの。良くも悪くもクセの強かった作風がずいぶんまろやかになったような印象を受けましたので西尾作品の入り口にお薦めです。現在テレビドラマも放送中ですね。
『午前零時のサンドリヨン』 相沢沙呼(あいざわ・さこ)
いわゆる〝ジャケ買い〟でしたが予想以上に面白かったです。謎は解明するものだというミステリ好きの主人公と、不思議は不思議のまま楽しんだ方がいいというマジシャンのヒロインの対比が興味深かったです。
よたかさん(『尾張名古屋共和国』〈読切〉)
『狼と香辛料』 支倉凍砂(はせくら・いすな)
お金の為の戦争が続く現代、あらためて読み返しました。商人の金銭感覚で、単純な奪い合いの戦争を無くすのが、ロレンスの望みだったはず。商人たちはどこで間違えたのでしょうか?
『植物図鑑』 有川浩
どっぷり有川さんの世界に引き込まれてしまいました。ありそうな日常にラノベ的展開、優しいけど影のある男。何があっても有川さんだから、安心して最後まで読めました。来年公開される映画に期待してます。
『新釈 走れメロス』 森見登美彦(もりみ・とみひこ)
これまた新作でなくて申し訳ない。過去の話を解釈しなおして書きたくなった時に、参考にしようと読みはじめました。原作をリスペクトしたパロディーは、原作を読みたくなるほど魅力的なんですね。
浅野佑暉さん(『パトリシア』〈読切〉)
『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』 松尾豊(まつお・ゆたか)
一般読者に向けて分かりやすく書かれていながら、内容は濃密で「人工知能」というものに対してぼんやりとしたイメージを持つ人が読むとその「ぼんやり」が明確なものになる一冊。
KADOKAWA/中経出版
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長鳥たまさん(『紅潔し』〈表紙イラスト〉)
ありません。
鷹野凌(編集長)
『ビッグデータ・コネクト』 藤井太洋
サーバー犯罪、警察小説。というか、デスマーチに苦しむエンジニアの悲哀を描いた作品。帰れない、眠れない。また仕様変更、スパゲッティソース、バグだらけ。ひいいいい。ワイルドカード、そう使いますか。
『火花』 又吉直樹
誰も挙げてないので。「芸人・ピース又吉が書いた」とか「芥川賞受賞作」という先入観なしで読めば、普通に楽しめるエンタメ作品。ラストシーンの先輩は「おいおい」と思いましたが。
『創作の極意と掟』 筒井康隆
創作歴60年の翁が遺す、まさに「極意と掟」。目次がみんな2文字。小説書きなら読んでおくべし。「筆舌に尽くしがたい」という形容を絶対に使ってはいけないというのは、表現することを放棄した言葉だからでしょう。