『月刊群雛』2015年11月号には、竹島八百富さんの小説『Yの悲劇』が掲載されています。これはどんな作品なんでしょうか? 作品概要・サンプルとインタビューをご覧ください。
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作品概要
学習塾の夏期講習で起きた悲劇の一日。
皆さんも経験あるように、男子中学生は、やはりおバカでした。
夏期講習の休憩時間、おバカ三人組は食べ物のミックス食いを始める。午後の学習時間が始まると、当然のようにお腹に異変が!
トイレの争奪戦が今始まる……と思いきや!
な、なんとY君が予想だにしなかった言葉を発する!
これが実話だと信じるか信じないかは、あなた次第です。
Yの悲劇
Yの悲劇
私はある地方で小さな学習塾を経営している。小一から高三まで、人生の縮図を見ているような年齢幅で指導に携わっている。
実は、講師側が憂鬱となる期間がある。夏休みの約四十日間……〈夏期講習〉だ。生徒も過酷だが、付き合う方も過酷。午前八時から始業準備、日付を越えた午前一時近くまで終業業務。食事はおろか、トイレに行くのもままならない。
多種な学年が訪れるが、主役はやはり中三。朝から晩まで一日中塾。午前十時から昼十二時半まで講義。一時間の休憩後、午後六時半まで自習。一時間休憩して、午後十時までテスト。これを平日毎日実施。
悲劇はこの夏期講習で起きた。Y君の悲劇をお伝えする。
◇
その日、午前の講義が終わり、昼の休憩。私は事務室で午後の授業準備。基本、休憩中は口を挟まない。
この休憩のルールは、ただ一つ。〈残すな!〉塾には学校のような配膳室はない。汁物であろうと、なんであろうと、食事類は一切残さないように指導。
ただ、おバカなので、やるのだ……ミックスを! 中三の良太、隆介、そしてY。三人は、コンビニでお金を出し合って冷やし中華を買った。そして、この中にサイダー、ポテチ、チョコアイス、缶コーヒー、明太子、各自の弁当の一部を入れ、混ぜ合わせジャンケン。負けた者がそれを一口ずつ食すという恐ろしい行為を始めた。
おバカ三人はマズイ、マズイを連発しながら、それを口に流し込む! 爆笑する他の男子連中。遠巻きに冷たい目で見つめる女子たち。日頃の鬱憤を晴らすかのような大騒ぎの休憩があっという間に過ぎた。
午後の自習が始まり間もなく、悲劇のゴングが鳴った。
良太が辛そうな表情で「トイレいいっすか?」と席を立つ。
「休憩中に行けよ!」
と文句を言いながらも、それを許可。良太は大急ぎでトイレに向かう。冷たいもの、利尿作用の高いものを、相当量無茶食いをすれば、腹も下すはずだ。
トイレは二つの教室をつなぐ廊下の中央にある。学校のようには何基もない。男女兼用の洋式トイレが一基あるだけだ。
しばらく出てこない……私は心配になり、トイレのドアをノックする。
「良太、大丈夫かぁ?」
中からは弱々しい声。
「大丈夫っす……」
無事を確認し教室に戻ろうとすると、教室からは隆介とYが腹をかがめて出てきた。
「お前たちもか!」
もう、二人は返事をするのも辛そうだった。
※サンプルはここまでです。
竹島八百富さんインタビュー
―― まず簡単に自己紹介をお願いします
竹島八百富(たけしま・やおとみ)と申します。
たくさんの新人さんも参加機会を伺っているだろうから、ちょっと参加を自粛しようかなと思っていましたが、米田(よねた)せんせ初め他の参加メンバーの皆様からも励まされて、やっぱり参加しちゃいました(テヘペロ)。
初の掌編参加でしたが、字数の制約が思った以上に大変でした。
◆代表作:
・『Amazing Short Stories』
・キンドルホラー『厭モノ・怖モノ』
(いずれもKindleストアで配信中)
・『奇談屋の本』
(BCCKSで配信中)
・『波長』
(Kindle ストア、BCCKS、BOOK☆WALKER など十カ所のストアで配信中)
◆メールアドレス:
yaotomi.t@gmail.com
◆公式サイト:『kidan』
http://yaotomit.wix.com/kidan
◆ブログ:『小説のネタありませんかね?』
http://ameblo.jp/yaotomi-t
◆Twitter:@yaotomi_san
https://twitter.com/yaotomi_san
◆note:
https://note.mu/yaotomi_t
―― この作品を制作したきっかけを教えてください
生身の子供たちと接していると、笑いあり、涙あり、奇々怪々ありと、色々なことを体験させてもらえます。人様にお伝えしたい出来事もたくさんありますが、かなり衝撃だったこの件を選びました。
安心して下さい! 関係人物たちには、書くことを伝えてありますから!
―― この作品のターゲットはどんな人ですか
昔、おバカな中学生だった大人へ。
そして、自分は不幸だなと思っている人へ。世の中には、こんな悲劇を迎える人間もいるのです。
―― この作品の制作にはどれくらい時間がかかりましたか
当初は参加に二の足を踏んでいたので、参加表明ポチをしてから二日で書きました。フィクションと違って、考えずに書けるので、書くこと自体は楽でした。ただ、一気に書いたら六千字を越えてしまったので、二千字以上を減らすのに苦労しました。おかげで体言止めが多くなってしまいました。
―― 今後の活動予定や目標を教えてください
最近、動画作りを覚えたので、電子書籍との融合的なものも考えていきたいですね。
◆作家PV:『竹島八百富ムービー』
◆ホラー小噺:竹島八百富ムービー
【奇談屋の小噺】其の壱『ねぇ、知ってる?』
―― 最後に、一言お願いします
Y……、ネタにしてゴメンな。
竹島八百富さんの作品が掲載されている『月刊群雛』2015年11月号は、下記のリンク先からお求め下さい。誌面は縦書きです。
インディーズ作家よ、集え!
NPO法人日本独立作家同盟は、文筆や漫画など自らの作品をセルフパブリッシング(自己出版)している方々の活動を応援する団体です。コミュニティ運営、雑誌『月刊群雛』の発行、セミナーの運営などを行っています。
http://t.co/fGhoghLQ0R
— NPO法人日本独立作家同盟 (@aia_jp) 2015, 8月 20