『月刊群雛』2016年06月号には、かわせひろしさんの小説『太陽のホットライン』連載第4回が掲載されています。これはどんな作品なんでしょうか? 作品概要・サンプル・著者情報などをご覧ください。
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作品概要
地元プロサッカークラブ柏レイスターズの小学生チームに合格した太陽。だが落ちてしまった親友の光との仲がギクシャクした上に、レイスターズの練習についていけず、すっかり自信を失ってしまった。あんなに大好きだったサッカーをすること自体がいやになるほど。
そんな苦しむ太陽に手を差し伸べたのは……。連載第四回!
―― 壁を越えていく本格少年サッカーストーリー
太陽のホットライン 黄色のサッカーボーイズ
前回までのあらすじ
プロサッカークラブ柏レイスターズの小学生チーム、U-12のセレクションに受かった太陽。しかし親友の光は不合格だった。それ以来、二人の仲はどこかおかしくなってしまう。
さらに、プロクラブのアカデミーは太陽の想像以上にレベルが高く、練習についていくことができない。中心選手の玲の厳しい指摘に、すっかり落ちこんでしまう太陽だったが……!
主な登場人物
春日太陽 チビだけど足がとても速い、スピード系フォワード。どじで落ち着きがない。
月島光 地元チームでは一番うまい、パサー系ミッドフィールダー。大人びて賢い、面倒見のいいタイプ。
坂本玲 レイスターズU-12の中心選手。兄がプロサッカー選手で、サッカーにとても厳しい。
青野マルコ レイスターズU-12のディフェンダー。日伊ハーフ。
四 特訓
ゴール前に走りこんだ太陽。
そこへパスが出てくる。
強くて、速いパス。
ちゃんと止めなきゃだめだ。
そう思うと、よけいに身体に力が入る。
ばちっと音がして、右足に当たったボールは、大きくはずんだ。
いけない。
あわてて追いかけて、無理やりシュート。
ボールは、ゴールのわくをとらえることなく、大きく外れた。
「何やってんだ! しっかりコントロールしろ、へたくそ!」
大きなどなり声が、間髪入れずに飛んできた。
びくっと身をすくませて、反射的にふり向く。
そのままどすんと、ベッドから落ちた。
一瞬どこにいるのかわからなかった。
見回してみると、見慣れた自分の寝室だ。
「夢か……」
まだうす暗い明け方の部屋で、太陽はため息をついた。
「太陽ー! サッカーしようぜー!」
「う、ううん……今日はいいや」
昼休みに友達からさそわれた太陽は、しばらくためらったのち、首をふった。
「え? どうした? 昨日もじゃん」
「どっか痛めてるの?」
サッカーばかの太陽が、サッカーするのを二日連続で断るなんて、めったにないことなので、友達はみんなびっくりした様子だ。
※サンプルはここまでです。
作品情報&著者情報
こんにちは、かわせひろしです。『太陽のホットライン』第四回をお送りしました。物語の構成で起承転結と言われます。全五回なのでその通りではないのですが、今回は転の回でした。
この作品はもともと児童書として出版を目指していました。子供向けのお話で難しいのは、承の部分をどうするか。伏線を張っても、読書経験の乏しい子供には、それが逆転につながる合図と気づいてもらえない。以前、児童漫画を描いていた時は、そのパートでアンケートを落としてしまい、打ち切りの憂き目に会いました。
そこで考え方を変えて、一気に全部読ませれば、そういうことを心配しなくていいのではないかと思ったのが、漫画から小説へと転身したきっかけだったのですが。
今回連載の形にすることで、ちゃんと引きができてるかなとか、ちょっと懐かしい気持ちになりました。
また、電子書籍の読まれ方を考えた時。例えばスマホで移動の間の短い時間に読むとしたら、短いパッケージになっていた方がいいのかもしれない。そうすると、週刊漫画の連載みたいな区切り方と引っ張り方が、小説でも有効に働くかもしれない。
そんなことを考えたりしながら、作業を進めていました。まだまだいろいろ手探りです。
かわせひろし
漫画家として活動し、『ケッタ・ゴール!』(ポプラ社刊)連載後、小説家に転進。第十一回ジュニア冒険小説大賞を取って、『宇宙犬ハッチー 銀河から来た友だち』(岩崎書店刊)でデビューしました。
セルフ・パブリッシングも同時に進めていて、E☆エブリスタさんで『君の守護者』を連載しています。
◆ブログ:かってに応援団
http://ouendan.cocolog-nifty.com/blog/
◆Twitter:
https://twitter.com/kawasehiroshi/
かわせひろしさんの作品が掲載されている『月刊群雛』2016年06月号は、下記のリンク先からお求め下さい。誌面は縦書きです。