『月刊群雛』2016年07月号には、かわせひろしさんの小説『太陽のホットライン』連載最終回が掲載されています。これはどんな作品なんでしょうか? 作品概要・サンプル・著者情報などをご覧ください。
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作品概要
合格した地元プロサッカークラブ小学生チームの練習についていけず、苦しんでいた太陽。それを救ったのは疎遠になっていた親友の光だった。
太陽は光との特訓でファーストタッチに磨きをかける。まだまだプレー精度は低く、百発百中とは行かないけれど、一つ武器を得たことで、つらい練習も前向きに取り組めるようになった。
そんなある日曜日、プロサッカークラブの小学生チームが集まる大会に、太陽の所属する柏レイスターズも出ることになって……。連載第五回、堂々の最終回!
―― 明日をつかむ本格少年サッカーストーリー
太陽のホットライン 黄色のサッカーボーイズ
前回までのあらすじ
プロサッカークラブ、柏レイスターズの小学生チームに合格したはいいけれど、練習のレベルの高さに、すっかり自信を失ってしまった太陽。ボールをけるのさえいやになってしまうほど、落ち込んでしまった太陽を救ったのは、レイスターズ不合格で太陽と疎遠になっていた光だった。
二人でやった特訓でプレーを見直し、一筋の光明を捉えた太陽は……。
主な登場人物
春日太陽 チビだけど足がとても速い、スピード系フォワード。どじで落ち着きがない。
月島光 地元チームでは一番うまい、パサー系ミッドフィールダー。大人びて賢い、面倒見のいいタイプ。
坂本玲 レイスターズU-12の中心選手。兄がプロサッカー選手で、サッカーにとても厳しい。
田中楓太 レイスターズU-12のミッドフィールダー。快活で気配り上手。
越智祐輔 レイスターズU-12のゴールキーパー。思い切り老け顔で、あだ名はおっちゃん。
青野マルコ レイスターズU-12のディフェンダー。日伊ハーフ。
五 試合
レイスターズに入団して、一ヶ月ほどたったある日曜日。
「うわー、見て見て、ジェットコースター! 面白そう! 乗りてー!」
駅から上がるゴンドラの窓から外をながめて、太陽は興奮して声を上げていた。
遊園地が見えているのだ。
そんな太陽を、楓太が笑いながらたしなめた。
「太陽、太陽。今日は試合で来てんだよ」
「そうだった」
言われて太陽は居住まいを正す。
今日は試合で遠征だ。小さいながらも、ちょっとした大会が行われるのだ。
その大会の主催は、ベルデ東京。やはりプロのクラブで、下部組織の小学生のチームは、何度も全国制覇をしている伝統ある古豪だ。
ゴンドラを降りしばらく歩いて、遊園地内にある練習場についた。広い敷地にサッカーコートが天然芝と人工芝、合わせて四面。大きなクラブハウス。見学のためのスタンドもあって、その向こうには、ジェットコースターやウォータースライダーなどの、遊園地の施設がそびえている。
「……なんか、こっちの方が立派なような」
ついつい比べてしまう太陽を、玲がぱかんとはたいた。
「いた!」
「施設で勝負してんじゃないんだ。サッカーの中身で勝負だかんな!」
鼻息あらく、表情は険しい。もう戦闘モードに入っている様子だ。
でも、確かに玲の言うことももっともだ。雰囲気に飲まれるのはよくない。特に相手の本拠地でやるんだから、その分、きばっていかないと。
太陽はまだ練習でうまくやれているとは言えず、先発の座もほど遠かった。それでも、光との特訓の成果もあって、プレーは少しずつ上向いていた。
ターン一発で裏をねらう形は、まだまだコントロールが正確ではなかった。玲にもさんざん怒られていた。でも、いい所にボールを流せた時には、相手を置き去りにできている。今日も出番があったら、それをねらおうと思っていた。
会場となる人工芝のコートには、他のチームも来ていた。川崎フロンティアーズに横浜マリナーズ。全部で四チーム。みんなプロの下部組織のチームだ。
※サンプルはここまでです。
作品情報&著者情報
こんにちは、かわせひろしです。『太陽のホットライン』第五回をお送りしました。今回が最終回となります。お付き合いいただき、ありがとうございました。楽しんでいただけたでしょうか?
また、この場をお借りして、編集スタッフの皆様にお礼申し上げます。この作品は商業出版を目指してずっと推敲を重ねてきた作品で、何度も何度も読み返したはずなのに、まだこれだけ直さなくてはいけないところが残っていたなんて、驚くというか、呆れるというか。本当にお世話になりました。
こうして世間に出すことにより、僕自身にも多くの気付きがありました。書いて出して読んでもらって、そこで初めて作品に命が吹き込まれるのです。
連続して出すという貴重な経験を積みましたので、このまま間を置かず続けていきたいと思います。次の作品でも、よろしくお願いします。
かわせひろし
漫画家として活動し、『ケッタ・ゴール!』(ポプラ社刊)連載後、小説家に転進。第十一回ジュニア冒険小説大賞を取って、『宇宙犬ハッチー 銀河から来た友だち』(岩崎書店刊)でデビューしました。
セルフ・パブリッシングも同時に進めていて、E☆エブリスタさんで『君の守護者』を連載しています。
◆ブログ:かってに応援団
http://ouendan.cocolog-nifty.com/blog/
◆Twitter:
https://twitter.com/kawasehiroshi/
かわせひろしさんの作品が掲載されている『月刊群雛』2016年07月号は、下記のリンク先からお求め下さい。誌面は縦書きです。