『月刊群雛』2016年05月号には、にぽっくめいきんぐさんの小説『フィエロ王国戦記』連載前編が掲載されています。これはどんな作品なんでしょうか? 作品概要・サンプル・著者情報などをご覧ください。
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作品概要
魔物があらわれた! どうする?
誰を使う? どれを使う?
勇者とは。
剣とは。
盾とは。
魔法とは。
王国とは。
そして、3Dプリンターとは。
ライトノベルに登場する、これら頻出オブジェクトの「本質」を問う。
……有識者に。
―― 王様視点のラノベがあってもいいじゃない!
フィエロ王国戦記 前編
城にやってきた、イケメン勇者やら何やらについて語りたいんだが。いい? じゃあ始めるよ?
謁見の間で、お決まりの言葉をかけてやったのね。
謁見の間とは何かって? その説明いる? いらなくね? まずは、普通のお城を想像して頂戴よ。どこのご家庭にもある、それだよそれ。その右上あたりのやつ。バールのようなもの。違うか。ない? ないの? バールじゃないやつだよ? あの、次行っていい?
「よくぞ来た、勇者よ!」
その声に応じ、青年は、赤絨毯の上に片膝をついて、うやうやしく頭を下げ、指揮者がミディアムテンポのワルツで三角を2つ作った位の間を置いて、シュッと頭を戻して立ち上がり、こう返してきた。
「すみません、私はただの村人ですが?」
知ってます。王だぜ王。国のな。
「健全な肉体と、勇気さえあれば、それで良いのだ。資格もいらない」
「勇気があるかなんて、自分ではわかりませんが」
……面倒なやつが来やがったなあ。
「招集に応じここに来ている時点で、十分に勇気があるのだよ。普通は面倒がって、居留守でも使うものだ」
「そういうものですか。で、ご用件は何でしょうか、王様?」
状況を、かいつまんで説明してやった。
この世界に、突如魔物が発生し、各国が大混乱に陥っていること。
それらを倒すため、国中から勇者を募っていること、等々。
青年は、うんうんとうなずきながら、私の話に耳を傾けたね。で、
「具体的には、どのような魔物なのですか?」
はいきたー! 説明めんどうー!
「どのような、とは?」
「力が強いとか、空を飛ぶとか、色や大きさや形状とか皮膚の硬さとか、数や発生分布など、様々です。これらによって、我々の対処方法も変わりますよね?」
確かにそうだけど、魔物は発生したばかりだし、情報ねーよ。実働部隊のお前が何とかしてくれよ。
「具体的にはまだわからん。魔物が発生したという情報が、先日もたらされたばかりなのだ」
「不確定情報に基づいて行動するのは危険ですよね? その魔物、エビデンスがあるのですか?」
魔物にエビデンスなんかねーよ!
「我が国の情報部が、同盟国から公式に得た情報だ。問題ない」
※サンプルはここまでです。
作品情報&著者情報
にぽっくめいきんぐ
―― まず簡単に自己紹介をお願いします
毎度お世話になっております。にぽっくめいきんぐです!
まずは謝罪から。
「Q:戦記なのに戦ってないよね?」
「A:完成したら2万字弱に膨張して前後編に割ったというのが真相。申し訳ありません」
後半は、戦うんじゃないかな……どうかな。わかんないな。
「今年はアウトプットの年」そう勝手に決めて、インディーズ作家始めました!
小説投稿サイト・カクヨムを見たら、『横浜駅SF』が圧倒的すぎて。すごい人がいるもんだ!
初の子供が生まれます。息子の可能性大。今年のアウトプットの1人ということでいいでしょう(笑) いや、嫁のアウトプットだな(笑) 一番頑張ってるのは女性ですよ。
インプットは、母校である某大学の法学部に潜り込みます。昔は数学科だったので、文転しましたね。20年ぶりのキャンパスライフを楽しみます!
◆公式サイト『にぽっくめいきんぐ』
http://nipockmaking.com/
「作り履歴」タブで、ここ2〜3カ月で書いた拙作(公開されているもの)がリスト化されております。恥ずかしげもなく公開! 作って公開しないと上手くならないと思うので、どんどん行きますよ。
◆ブログ『にぽブロ』
http://nipock.sblo.jp/
◆Twitter(@mamantick)
https://twitter.com/mamantick
―― この作品を制作したきっかけを教えてください
次世代知財システム検討委員会を傍聴したら、3Dプリンターと知財との関係が論点に。意匠登録物品を3Dプリンターで個人的に作る行為は、意匠権侵害なの? だとか、四星球をご家庭で3Dプリントしたら、鳥山明(とりやま・あきら)先生の著作権を侵害するの? とか、疑問でモヤモヤしてました。そこに、電撃文庫の元編集長・三木一馬(みき・かずま)さんが講師の日本独立作家同盟のセミナーが。「今、ラノベが熱いのか!」と思い、ラノベに寄せてみました。ちゃんと寄れてますかね?
―― この作品の制作にあたって影響を受けた作家や作品を教えてください
・知的財産戦略本部次世代知財システム検討委員会(内閣官房)
・私が中高生当時の『月刊ドラゴンマガジン』掲載の諸々の小説(今で言う「狭義のラノベ」)。吉岡平(よしおか・ひとし)先生の『ユミナ戦記』とか、冴木忍(さえき・ しのぶ)先生の『道士リジィオ』シリーズとか。
―― この作品のターゲットはどんな人ですか
ここまででおわかりの様に、著作権、アニメ、漫画、ラノベ、ゲーム等に興味がある人向けです。
あと、R-1ぐらんぷりのハリウッドザコシショウさんとか、伊集院光(いじゅういん・ひかる)さん(UP’Sリスナーでした)とか、バカリズムさんとかの笑いが好きな方は、感覚が噛みあうかもしれません。
―― この作品の制作にはどれくらい時間がかかりましたか
カウントしてないですが、30時間くらいは、優にかかっているはずです(前後編合算)。
特に、作った後のセルフ校正の時間の方が、長くかかっていると思います。
自分で読み返す度に「ウヒヒヒヒ」と変な笑いが出ちゃうので、私と読者の皆さんの感覚が噛みあうかどうか。そこが一番の心配どころです。
―― 作品の宣伝はどのような手段を用いていますか
『月刊群雛』2016年03月号の時と同様、ブログ、ホームページ、Twitterなど。
Twitterは、「時間指定投稿」での作品紹介を試しています。あまりやりすぎると「業者かよ?」という不快感をフォロワーさんに与えてしまうので、目立ちすぎない程度に。押し売りは良くないですから慎重に。
―― 作品を制作する上で困っていることは何ですか
「描写」「物語る力」等の技術面は当然として、これからは「時間の捻出」が壁です。本業の合間に子供のおしめを取り替え、著作権と人工知能のニュースを追い、委員会に出席し、大学の講義を受けに行き、これらを引いた残り時間で創作するわけですから。滞るでしょうが、できる範囲で、一歩ずつ前に進みます。
―― 注目している作家またはお気に入り作品を教えてください
最近読んで良かったのは下記です。
・三木一馬『面白ければなんでもあり 発行累計6000万部――とある編集の仕事目録』
ラノベっぽいの書いてみよう(中学時代に戻ろう)と思ったきっかけの本です。
・三鏡一敏(みかがみ・かずとし)『ヴァルハラの晩ご飯 〜イノシシとドラゴンの串料理(ブロシェット)〜』
20年以上ラノベから遠ざかってましたけど、今のはこういう感じなんですね! 戦をドンズバで書くんじゃなくて、周辺情報で色をつける感じ! 面白いです!
・飯田一史(いいだ・いちし)『ウェブ小説の衝撃 ――ネット発ヒットコンテンツのしくみ』
出版の「地図」みたいな本です。自分が書いた小説を今後どこに卸せば良いのか。それを考える時に、「今の全体像」が見えるので有益。実は、紙出版/電子出版の二元論ではない点が、目からウロコでした。次の版で「群雛」について書いてもらえるよう、群雛組の一員として自分なりに精進します。
・カクヨム等で活躍されているイスカリオテの湯葉(ゆば)さんの作品ですね。断然! 圧倒的に! 『横浜駅SF』の着想で、もうやられました。第1回カクヨムWeb小説コンテストのSF部門は、もう湯葉さんで決まりだと思います。
―― 今後の活動予定や目標を教えてください
カクヨムの地下やWEB上のコンテストサイトで、色々と実験をしています。校正を入念に行う通常出版と、「読者の指摘で直せば良いじゃん。祭ったもん勝ち」のWEB出版。これらは別物です。当然、アプローチも別にしないと。ただし、いずれも結局、課題は実力。
前回のインタビューに書いた目標の10万字の長編は、難しいですね。初心者特有の「見積もりの甘さ」が出ました。気持ちだけじゃダメ。「じゃあ参加しないのか?」の答えはノーですがね。今、できる範囲でやります。
また、今後もショートショートをあちこちに投稿していきます。現状は私のホームページの「作り履歴」タブをご覧ください。時空モノガタリさんでたまに評価ポイントをもらえたりするので、うれしいですね。やる気が出ます。
アプリは……作っている時間ないでしょうね。牌を折り曲げて消す自作ゲーム「オリマゲドン」(GooglePlayで「オリマゲドン」)のバージョンアップはなんとかしたいです。何気に遊んでくれている人もいるみたいですし。
―― 最後に、読者へ向けて一言お願いします
お読み頂きありがとうございます! 次回は後編乞うご期待! あと「こういうの書いて!」のリクエストもお待ちしております!
にぽっくめいきんぐさんの作品が掲載されている『月刊群雛』2016年05月号は、下記のリンク先からお求め下さい。誌面は縦書きです。