『月刊群雛』2016年03月号には、にぽっくめいきんぐさんの小説『まんじゅうほしい』が掲載されています。これはどんな作品なんでしょうか? 作品概要・サンプルなどをご覧ください。
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作品概要
【第1問】
AIが人間のわびさび覚えたらヤバくね? もはや人間いらなくね?
(制限時間:1分)
【第2問】
エー博士(田中)を中心に、とあるプロジェクト(ヒント:落語)が始まった。
あんなことやこんなこと(いかがわしいかは不明)を学んだ人工知能「こうはく」(グレー)は、さて何て言った?
(制限時間:15秒)
―― 人工知能は人間のわびさびを理解できるか?
まんじゅうほしい
博士が三人集まって、とあるプロジェクトが発足した。落語「まんじゅうこわい」を人工知能で再現できるか、というプロジェクトだ。
「これがうまくいけば、AIが日本のわびさびを理解できるようになる」
プロジェクト長のエー博士はそう語った。
まずは人工知能の名前だ。博士同士で話し合って、縁起が良さそうな「こうはく」と名をつけた。
次は「まんじゅう」という概念をこうはくに教えてやることだ。大量のまんじゅうに関するデータを、こうはくに入力して学習させた。
「いいですか、落語の[まんじゅうこわい]は入力不可ですよ」
とエー博士。答えを知っていたら困る。
結果、こうはくは、まんじゅうとそれ以外とを高確率で識別できるようになった。
「メインのまんじゅうについてはこんなものでしょう」とエー博士。
次の課題は「なぜまんじゅうを欲しがるのか」だ。プログラム上のこうはくには、人間のような身体がない。味覚も、ものを食べる仕組みもなく、そもそもまんじゅうを欲しがるわけも無いのだ。検討の結果、実際の人間と同様に、身体の制約を設けるのが良いだろう、ということになった。
ロボット関係の技術に強いビー博士を中心に「カラダエミュレータ」をこさえた。
人と同様の大きさの人形のカラダである、カラダエミュレータが、こうはくに接続された。このカラダには、目や耳、口、鼻があって、それぞれ視覚、聴覚、味覚、嗅覚情報を数値データとして感知できるようにしてある。脳にあたるAIプログラムは、カラダには入らなかった。
「脳のカラダの中への実装は、コンピュータの小型化を待ちましょう」とビー博士。
こうしてビー博士を中心に開発されたカラダエミュレータに、博士達は、いろんな食べ物を投入してやった。
投入した食べ物は、「旬」を意識して体内カレンダーを調整した。こうはくの体内カレンダーを「春」にしたら、タラの芽やイチゴ、たけのこを入れる。体内カレンダーを夏にしたらキュウリにトマトにアジ。秋といえばやっぱり秋刀魚。そんなあんばいだ。
カラダエミュレータには体調メーターがあって、調子の良い悪いのバイオリズムが周期的に生じるようにした。
実験では、偶然、調子の悪い時につぶあんを食べることが多く、調子の良い時にこしあんを食べることが多かったようだ。こうはくはこしあん好きになった。こしあんを食べると、こうはくの快メーターの上昇が凄いのだ。
※サンプルはここまでです。
作品情報&著者情報
にぽっくめいきんぐ
―― まず簡単に自己紹介をお願いします
はじめまして、にぽっくめいきんぐです。趣味でスマホアプリを作ってます。
牌を折曲げて消すゲーム「オリマゲドン」を作りました(GooglePlayで「オリマゲドン」と検索)。
文章書きは、昨年12月半ばから始めました。約1週間後の19日に、鷹野編集長と福井先生のセミナーに参加できたのが、まさに「渡りに船」でした。
「何事もチャレンジ!」と、投稿させていただきました。
書き始めたばかりで、右も左もわかりませんが、頑張ります。宜しくお願い致します。
◆公式サイト『にぽっくめいきんぐ』
http://nipockmaking.com/
◆ブログ『にぽブロ』
http://nipock.sblo.jp/
◆Twitter(@mamantick)
https://twitter.com/mamantick
―― この作品を制作したきっかけを教えてください
昨年、某著作権委員会に加入。通称「オタク部会」で「どこでもドアは著作物?」等の議論。目覚め。折しもTPPやロゴ等、問題多発。色々考えたら「自分で著作物作っちゃえばいいじゃん」となりました。
ひょんな事から人工知能学会にも入会。AIで星新一賞を狙う北海道のプロジェクトを知り、高校の頃を思い出す。
結果「AI絡みの物語を書いてやる!」なる結論に至り、制作に至りました。
―― この作品の制作にあたって影響を受けた作家や作品を教えてください
星新一(ほし・しんいち)先生です。
高校時代に星先生の文庫を大量に購入し、ひたすら読み耽っていました。
―― この作品のターゲットはどんな人ですか
私と同様、「妄想が好き」な方です。
道を歩いている時、お風呂中、等々、いろんな時につい妄想しちゃう。これ、普通にあると思います。自分の頭の中で妄想して楽しめる人。そんな方に読んで欲しいです。
―― この作品の制作にはどれくらい時間がかかりましたか
おそらく、6〜8時間くらいだと思います。
2月号の募集で「空きがあるよ」通知が来た際、急遽書いた第一稿がありました。
これを1カ月寝かせて、電車の中などでちょこちょこ修正していったものが、今回の原稿です。
―― 作品の宣伝はどのような手段を用いていますか
模索中です。
ブログとホームページは作りました。Twitterもあります。
ブログとTwitterは、人工知能と著作権法とアプリの話ばかり書いているので、作品宣伝はこれらに埋もれます。どうしたらいいでしょうかね(悩み中)。
アプリの時は、レビューサイトにメールでレビュー依頼をする、なんてやり方を試しました。
20カ所くらいは送ったかなぁ? そのうち、紹介して頂けたのは2カ所(自動収集)でした。
私程度のアプリでは、レビューしてもらえません。
レビュアーさんだって忙しいんです。それなりのメリットなり、「これいいぞ!」なりをレビュアーさんに与えられないと、駄目なんですよ。それが現状。
では、そこをどう突破するか? これが今抱えている課題です。
これは、きっと、文章でもアプリでも同じはずですよね?
―― 作品を制作する上で困っていることは何ですか
なんといっても、「物語る力」に乏しいことです。
書きながら、少しずつでも、紡ぐ力をつけていきたいです。
―― 注目している作家またはお気に入り作品を教えてください
最近読んで良かったのは下記です。
・松尾豊(まつお・ゆたか)『人工知能は人間を超えるか』
人工知能学会入会のきっかけとなった本です。
・福井健策(ふくい・けんさく)『18歳の著作権入門』
難しい著作権をわかりやすく説明。初学者の私からしたら、神レベルにおわす方。
文芸本の紹介ではなくて申し訳ありません……
―― 今後の活動予定や目標を教えてください
カクヨムでWeb小説コンテストがあるようですね。長編10万字に応募してみたいです(目標)。
5000字を完成させるのに手一杯なのに、はっきり言って無茶なハードル。
(嫁も3月出産予定。時間取れるか?)
あとは、ショートショートをあちこちに投稿していきます。1月は3つ投稿しました。
アプリは、落ちもの系パズルと、その他企画はあるので、時間が余れば作ります。あと、既存アプリのアップデートですね。
―― 最後に、読者へ向けて一言お願いします
お読み頂き、ありがとうございます! 感想頂けるとうれしいです。
にぽっくめいきんぐさんの作品が掲載されている『月刊群雛』2016年03月号は、下記のリンク先からお求め下さい。誌面は縦書きです。