小説『一小路真実は興味がない』連載第2回が『月刊群雛』2016年01月号に掲載! ―― 作品概要・サンプルと晴海まどかさんインタビュー #群雛

作品情報&著者情報
『月刊群雛』2016年01月号

『月刊群雛』2016年01月号には、晴海まどかさんの小説『一小路真実は興味がない』連載第2回が掲載されています。これはどんな作品なんでしょうか? 作品概要・サンプルとインタビューをご覧ください。

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作品概要

 やっほー。私の名前は一小路いちこうじ真実まみ。この春からハマみなみ高校に入学したピッカピカの一年生!
 高校生活も二ヶ月目の五月のある日。図書委員の私は、放課後は平穏にゆるゆると図書室で過ごしてたんだけど。クラスメイトの間宮まみや優樹ゆうきがやってきてこんなことを言い出した。
「一小路さんって、俺のこと好きなの?」
 イケメンだからって世の中の女子がみんなお前のこと好きだなんて思うなよ!
 というわけで、間宮の相手なんてするつもりはさらさらなかったんだけど。気がつけば、間宮が手にした謎のラブレターの主を探すことになっちゃった私だった。なんだかんだで押しに弱い。
 ラブレターの送り主は『トーコさん』。そんな名前の女子生徒、うちの高校にはいないって結論になりかけてたんだけど、私は思い出してしまった。
『生物室のトーコさん』のことを。

 連載第二回目、物語は中盤に突入です!

―― ラブレターと七不思議? そして真相は?

一小路真実は興味がない ~引きこもり図書委員とラブレター~

3.怪談の理由

 いきなりこんなワタクシめの個人的な話で恐縮ではございますが。
 私は、色んな意味で高校デビューに失敗してる。
 流行のピークからだいぶ遅れてインフルエンザにかかり、まさかの入学式欠席。一週間遅れで高校に初登校。女子の世界というのはかくもシビアで、この一週間は私の高校生活において致命的な一週間となった。何かと群れたがる女子というのは、いくつになってもグループを形成する生き物で、私は完全にそれに入りそびれたのだ。
 一方で、インフルエンザにかかったわけでもなんでもなさそうなのに、なぜか相沢あいざわ美知みちも女子たちのグループからちょっと浮き気味だった。あとから、何かの拍子に高平たかだいらたちのグループと話したときに、『派手な格好の彼氏と歩いてるのを見た子がいるから』って理由を聞いた。ハマ南は良くも悪くもほどほどの偏差値で、素行の悪い生徒の噂をあんまり聞かない。そんな事情もあり、そういう人種と付き合いがあるらしい、という噂で女子たちは引いたそうだ。なるほど。けど、美知に派手な彼氏がいようがいまいが交友関係がどうだろうが、正直なところ私には興味がない。高校生活全般から興味を失ってるので致し方なし。
 そんなこんなで、タイプはまったく違うけど。私は教室では美知と過ごすことが多かった。まぁ、噂の真偽はともかく、美知は悪い子じゃなかったし、あまり人を詮索してくるようなことをしないので、一緒にいてイヤじゃないし。
 そんなある日の昼休みのお弁当タイム。私は美知に、学校の七不思議について訊いていた。ちょっと前、多分あれもお昼休みだったと思うけど、そんな話を美知がしてたのを思い出したのだ。
「真実ちゃんって、そういう話には興味ないと思ってたぁ」
 語尾が伸び気味で高く甘ったれたいつもの口調の美知に、まぁ、と曖昧あいまいに答える。美知のこの喋り方にはいまだに慣れ切ってない。とはいえ、ぶりっ子でもなんでもなく、これが美知の素らしいとわかってから、あまり気にしないようにはしてるけど。
「まったくもって興味はないんだけど、諸事情により興味があることになった」
 私の言葉に美知はなぜかきゃっきゃと笑いだした。時々こういうことがある。美知の笑いのツボが私にはいまだによくわからん。
「真実ちゃんってホント面白いねー」
 私にしてみれば、美知の方がまったくもって面白い生き物なんだけど。
 美知が教えてくれた学校の七不思議の一つ、『生物室のトーコさん』。
 トーコさんというのは、生物室にある骨格標本のことだ。生物部にいたある女の子が、事故で亡くなった親友の『トーコ』という名前を骨格標本につけた(なぜ骨格標本に親友の名前をつけたのかとか、そういう突っ込みをしてはいけない)。その女の子が卒業してしまい、残された骨格標本の『トーコさん』は、寂しさから夜な夜な骨をカタカタと鳴らしている……という怪談話。

※サンプルはここまでです。

晴海まどかさんインタビュー

晴海まどか

―― まず簡単に自己紹介をお願いします

 晴海まどか(はるみ・まどか)です。最近、少女漫画の研究ばかりしていたせいで、胸キュンと二次元のイケメンがすっかり好物になりました。
 『月刊群雛』では編集として毎号参加していますが、今回は連載でも参加です。最近は校正の仕事をしながら日々小説を書いています。

 個人出版でもたくさん本を出していますが、以下は電子書籍レーベルから発売されている本です。三十以上の国内電子書籍ストアで配信中!
〈impress QuickBooks〉
◆『明日が雨でも晴れでも』(『ライトなラノベコンテスト』特別賞):
http://suny-or-rainy.tumblr.com/
◆『髪の毛探偵 石神くん』シリーズ(1巻は無料配信):
http://ishigami1.tumblr.com/
〈あの出版〉
 『月刊群雛』2015年08月号まで連載していた作品です。千葉が舞台の青春群像劇、高校時代が懐かしくなる一作。
◆『ギソウクラブ』
http://gisoclub.tumblr.com/

◆公式サイト:『白兎ワークス』
http://whiterabbitworks.wordpress.com/
◆ブログ:『原点回帰―Running possible―』
http://mfineocean.hatenadiary.jp/
◆Twitter(@harumima)
https://twitter.com/harumima/

―― この作品を制作したきっかけを教えてください

 先月号でも書いていますが、少女漫画のノリに近いものが書きたいと思っていたからです。
 連載第二回、ここでようやく真実がクラスで仲良くしている友だち・美知みちが登場します。少女漫画でいいなぁと思うところの一つが、恋愛話だけじゃなくて、女の子同士の友情もちゃんと描いている作品があることです。今回の連載ではそこまで深入りはしませんが、真実と美知が仲良くなっていく過程も別の話で書きたいです。

―― この作品のターゲットはどんな人ですか

 少女漫画が好きな方です。先月号のくり返しになりますが、イケメンが出てきて無条件にヒロインのことが好きで甘やかすようなタイプの作品がお好みであればなおよいです。
 ちなみに今作で出てくるイケメンポジションの間宮くんはあんまり硬派ではありません。アニメ・映画化もされた少女漫画『君に届け』の登場キャラクターである三浦健人(みうら・けんと)、通称「師匠」のビジュアルイメージが近いかも?

―― 作品を制作する上で困っていることは何ですか

 困っているというか怖いなと思っていることですが、こんなに長いこと小説やらなんやら書いていても、第三者に校正してもらうと誤用や勘違いしていた用法にぶち当たることです。文章に携わる仕事を何年もやっていますが、仕事ではお堅めの文章が多いので、小説という日常に密着した文章だと予測だにしていなかった思い込みが発覚してビビることがあります。誰かに文章を見てもらえる機会は本当に大事にした方がよいです。

―― 注目している作家またはお気に入り作品を教えてください

 恋愛ものではありますが、女の子たちの友情も熱い少女漫画を紹介してみます。
・咲坂伊緒(さきさか・いお)『アオハライド』
・椎名軽穂(しいな・かるほ)『君に届け』
・葉月かなえ(はづき・かなえ)『好きっていいなよ。』
・ろびこ『となりの怪物くん』
 列挙してみて気づいたのですが、どれも主人公の女の子が高校デビューに失敗してたり人付き合いが下手だったりという感じですね。改めて分類してみると興味深い。

―― 今後の活動予定や目標を教えてください

 気がつきゃ2015年も終わりですね。色々がんばったような気がします。2016年も引き続き色々がんばっていきたいなぁと強く思ってます。小説もたくさん書きたいし、個人出版でもなんでも本を出していきたいです。バレンタインくらいまでには短編集を個人出版しようかななんて思ってたりもします。

 最新情報はブログや公式サイト、Twitterでアップしています。よかったら覗いてみてください。

―― 最後に、読者へ向けて一言お願いします

 全三回なのであっという間に連載はおしまい、次でラストです! ずっとツンツンモードの主人公でしたが最終回はデレるかも?
 来月号もよろしくお願いします!

晴海まどかさんの作品が掲載されている『月刊群雛』2016年01月号は、下記のリンク先からお求め下さい。誌面は縦書きです。

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