『月刊群雛』2015年11月号には、きうりさんの小説『ひまわり』が掲載されています。これはどんな作品なんでしょうか? 作品概要・サンプルとインタビューをご覧ください。
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作品概要
農協の広報担当者である内木は、特殊能力の持ち主。ときどき、被写体の未来を写してしまうのだ。しかも写るのは事故や災害ばかり。
今回、彼が撮影してしまったのは交通事故だった。夏のひまわり迷路で、幼稚園児が車に撥ねられる――。しかし状況は最悪で、その場所も被害者も特定できない。時間も迫る。そんな中、事故を阻止すべく同僚の早香が動き出した。
内木と早香は事故を止めることができるのか? 運命に翻弄される男と、その活躍を描くサスペンス・ミステリ。
ひまわり
一
前置きは抜きにしよう。
俺は『道の駅はらい』の一階フロアを全力疾走していた。どいてくれと叫び出したくなるのをこらえて、観光客たちの間をすり抜ける。
外に出て、炎天下の駐車場を突っ切り、道路に出た。数え切れないほどのひまわりが目の前に並んでいる。どれも俺の身長より高い。
ひまわり畑などというと、美しく牧歌的なイメージだろう。だが実際には枯れていたり変色していたり蜂が飛び交っていたりで、意外と野性味がある。俺は中に入りたいとは思わない。
それでも、子供たちは楽しんでいた。ひまわりで作られた迷路の中で、彼らは歓声をあげている。
どこだ。事故が起きるのはどの出口だ? 通話状態のままのスマホに、俺は声をかけた。
「外に出たぞ、早香」
分かったわ、とだけ返事があった。
ひまわり畑を睨んだ。どれも、揃いも揃って同じ顔で咲いている。迷路の中から聞こえる子供たちの声もまた、俺には全て同じに聞こえる。
早香は、一体どうやって見分けるつもりなのか。
二
少し時間を遡る。
『道の駅はらい』の駐車場で、俺はシャッターチャンスを狙っていた。
被写体は、日差しを浴びるひまわり畑と、そこを訪れる人たちだ。
道の駅は国道に面しており、この時期は多くの観光客が訪れる。そこに、道路を挟んで隣接しているひまわり畑は、原井市農協と市が協力し、休耕田を利用して作ったものだ。夏の間は「ひまわり迷路」として観光客に開放している。また後日、ひまわりから油を採取して売り出したりもしている。農協で広報を担当している俺にとって、このひまわり畑は大切なネタだった。
だが、いいタイミングはなかなか訪れない。陽光の下でカメラをぶら下げ、俺はひたすらその時が来るのを待っていた。
「熱中症になるわよ」
そんな中、寺村早香の声が聞こえた。見ると、彼女が駐車場を突っ切って、ヒールの音も高らかにこちらへ近づいてきていた。一瞬、どこのモデルかと思う。服装は夏らしくカジュアルで、ヘアスタイルもごく普通のショートカットだ。それなのに、抜群の容姿とスタイルのおかげでやたらと目立っていた。
「なんだお前、仕事はどうした」
聞いた。早香とは職場で向かいの席同士だ。俺が事務所を出た時は、まだ制服姿でパソコンをいじっていたはずだ。
「午後から夏休み」
日差しに目を細め、彼女は答えた。もうそんな時間だったか。
※サンプルはここまでです。
きうりさんインタビュー
―― まず簡単に自己紹介をお願いします
・名前:きうり
・ウェブサイト(ブログ):『文藝yaminave』
http://yaminave.blogspot.jp/
・ツイッターアカウント:@q_ridaisensei
https://twitter.com/q_ridaisensei/
・代表作:『イタコに首ったけ!』『光速文芸部』『学園祭』
いずれも青春ミステリ小説。Amazonその他で電子書籍として販売中です。
―― この作品を制作したきっかけを教えてください
山形県村山市で、以前やっていた「ひまわり迷路」を見てヒントを得ました。
―― この作品の制作にあたって影響を受けた作家や作品を教えてください
海堂尊(かいどう・たける)作品と、漫画『め組の大吾』。
―― この作品のターゲットはどんな人ですか
ミステリ好きの方、シンプルな娯楽小説が好きな方、それ以外の方もどうぞ。
―― この作品の制作にはどれくらい時間がかかりましたか
二週間程度。
―― 作品の宣伝はどのような手段を用いていますか
ブログとツイッターが主です。
―― 作品を制作する上で困っていることは何ですか
体力と休みが欲しいです。
―― 注目している作家またはお気に入り作品を教えてください
川口雅幸(かわぐち・まさゆき)の作品を最近読んでいます。『虹色ほたる―永遠の夏休み』『からくり夢時計―DREAM∞CLOCKS』いずれも好きです。
―― 今後の活動予定や目標を教えてください
体力と時間の許す限り、執筆します。
―― 最後に、読者へ向けて一言お願いします
頑張ります。
きうりさんの作品が掲載されている『月刊群雛』2015年11月号は、下記のリンク先からお求め下さい。誌面は縦書きです。
インディーズ作家よ、集え!
NPO法人日本独立作家同盟は、文筆や漫画など自らの作品をセルフパブリッシング(自己出版)している方々の活動を応援する団体です。コミュニティ運営、雑誌『月刊群雛』の発行、セミナーの運営などを行っています。
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— NPO法人日本独立作家同盟 (@aia_jp) 2015, 8月 20